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■替え玉受験

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野坂育雄は昼食を終えたあとに、ゆっくりマッチで煙草に火を付けた。
5月も終わりになり、入学してから通う学生食堂の味にも慣れ始めた。

白衣を纏いながらの煙草は幼いころから憧れているシーンだった。
父親が診察を終えたあとの、その姿に、ずっと羨望をいだいていたのだ。

ようやく医学部の専門課程に入った。
アルミの灰皿に小さくなったタバコを、力を込めてもみ消して立ち上がろうとしたときだった。

「あっ、君」
色白で大柄な青年が彼をふさぐように立っていた。

「何でしょうか?」

「俺は3回生の大崎。
君が受験したときに試験監督の補佐をしたよ」

野坂は意識が消失するほどの衝撃を受けた。

「その時の写メを撮ってる」

その青年が話すことは、それからは記憶には無くなったが、全ては彼が事実を知っていることだけだった。

—-
野坂は広島県の〇〇市の内科の次男として産まれた。

ひとつ違いの長男の和彦は、帝都大学の医学部に現役で入っていた。

今年の二月に、野坂は受験直前にインフルエンザを発症し、一時は受験を諦めたが二浪をするのは嫌だった。
病床の枕元で、父親は冗談交じりに言った。

「受験するのは東京だし、和彦は顔も背格好も似てるから、替え玉してもばれないだろう」

冗談ではなかった。

—-
大崎に会った後、すぐに故郷の父親にメールをした。

「替え玉が公表されたら、お前どころから兄も大学を除籍になる。
私も医師免許をはく奪される」

「どうすればいいのか?」

しばらくして返信があった。
「とにかく至急、学生課に行き、その大崎の住所を調べなさい」

すぐに調べて、恵比寿に住む大崎の住所を父親に知らせた。

「安心しなさい。
すべて手を尽くした」

父親からの返信だった。

それは何をするのか、もうそれは闇に入れてしまい、それ以上は聞かなかった。


次の日に、野坂は学生食堂で食べ終えた後に、煙草の煙が眩しそうに、毎朝新聞の三面記事に目を通した。

「恵比寿のアパートで帝都大学医学部の学生(野坂和彦)が刺殺される」

新聞紙を持つ両手どころか、身体かガタガタと震えはじめた。
煙草はすでに落ちていた。

見上げると、そこには大崎がいた。

「さすがに、俺は死にたくないよ。
昨日は、君の兄さんにアパートに泊まってもらったんだ。
友人だし・・・」

それ以上は、彼は何も言わなかった。
ただ、大崎は薄ら笑いを浮かべていた。

野坂は逃げるように大学から立ち去り、ようやく父親にメールを送った。

返事は無かった。

それから、母親から何度も電話があった。

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